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  脳・視力にも影響する「噛む」ということ

デンタルインフォーメーション No.121 2006/7/28

「咬む」ということが私たちにとってどんなに大事なのか、その大切さをもっともっと知ってほしいと思っています。

咬むことはただ食物を食べて飲み込む時の一つの運動だと思っていたら大間違いです。
咬むときには口の中の感覚が脳に刺激を与えます。その刺激をもとに脳が指令を出し、唾液を出したり、舌の運動をさせたり、味覚をじっくり楽しんだり、飲み込むタイミングをはかったりします。
このように「咬む」ことは脳を精密かつ高度に働かせる機能です。
そして、脳はその刺激により活性化していきます。

「咬む」というシステムは、生まれておっぱいを飲むことからコンピューターシステムのごとく活動を開始し、どんどん成長していきます。
このことは人間の健康に大きなかかわりがあり、家でいえば、土台になっています。
咬むことは人が健康に成長するか、不健康的に成長するかを左右する大きな要因となるのです。

動物実験の例があります。
サルの実験では、サルの歯を抜くと、歯の直下にある神経組織がどんどんくずれて壊れていきます。
中枢(脳)へ行く情報通路が破壊されてしまうということですから、脳への刺激、反応が行かなくなってしまうということです!こわいと思いませんか。
ネズミやモグラの実験でも同じでした。
脳に行く神経も壊されますが、脳から出される、生きていくのに必要ないろいろな指令も衰えるので、内臓系、運動系、感覚系の低下が次々と起こっていき、弱々しい小さいからだに成長します。

このような例からも、子供のころから咬むという機能を高めておくこと、つまり歯のケアをきちんとし続けることは、体の健康を維持することにもつながります。
最近多くなっているスラリとした面長の顔は、咬む力が衰え、咬まなければならないのに咬めない、人間のいろいろな器官の衰えの始まりの顔でもあります。
そして健康な発達をするためには、歯のケアだけでなく、食生活を改善することも必要になってきます。

さらに、なんと視力にも咬むことがかかわっていることが研究の結果からわかってきています。
心理学では、世に言う非行少年の上あごには発育不良傾向があるらしいのです。
乳児期に母乳をしっかり与えられていないことも関連性があると言われています。
母乳を与えないとスキンシップが足りないとはよく言われますが、それだけでなく、あごの発達や咬むということと深く関わっていることが研究発表されています。
さらに視力と咬むということの相関関係もはっきりしています。
視力の低下の原因は、単にテレビの見すぎ、ゲームのしすぎ、パソコンの見すぎではないのです。
アンケートをとると、きっと面白い結果が出てくるかと思います。
頭部や顔の成長発達は、子供から中高生ぐらいまでに上顎下顎の発育方向が前下方に進んで行きます。
この時期に十分な咬む刺激がなくなると眼球は十分に成長しないため眼球がゆがみ、自律神経失調を起こす頻度が高くなってきます。
そのひとつが非行現象になって現れるというとても気になるデータもあります。

某大学医学部では、暴力行為をしてしまった子供たちの中で胃潰瘍、頭痛、腹痛、めまいを訴える子供たちに、メガネで視力の補正をすると自律神経失調の症状が回復し、行動もずいぶん落ち着いたという結果が出ているのです。私も驚きました!
このように、咬むことは顔の形ばかりでなく、脳の発達、視力、精神面にまで影響を与えてしまいます。
皆様の健康を維持する、咬むということの大切さを知っていただくことが私たち歯科医の責務だと感じています。

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