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  フェルデンクライス身体訓練法の考え方

デンタルインフォーメーション No.140 2009/03/27

脳の記憶というものの中には何種類かあります。
その中に「手続き記憶」というものがあり、それを構成している部分の中に「運動性記憶」というものがあります。
言葉では表現しづらい運動機能を覚えるという能力です。
つまり、言葉で覚えるのでなく、自転車を乗りこなすような運動的なものを覚える脳の働きを言います。
「手続き記憶」が定着するまでには段階を踏まないとなりません。

たとえば自転車に乗るという動作は、まずサドルに腰かけペダルを踏むという一連の動作、と考えて行動に移します。
こういった段取りは「陳述記憶」というもので、脳で言うと大脳皮質連合野という部分を使っています。
この段取りとして行われた動作は、筋肉が引っ張られ、どれだけの力を入れてこいだかという筋肉の情報として小脳に入ります。
それが小脳で制御されることで、からだが自然に反応して、考えなくても無意識に動作できるようになります。
これは小脳と大脳基底核という大脳に含まれる構造物が連合して「運動性記憶」を作っているのです。

赤ちゃんが歩き出すのも同じような働きです。
大人になっても、からだで覚えたことはコツやスキルとしてからだに入っていって、自然にできていくものなのです。
そして、一度覚えたコツやスキルはなかなか忘れません。

「からだで覚える」ということは、初めは大脳皮質連合野が働いて行っていた動作が、筋肉を使っていると小脳が筋肉を介して働き、小脳の働きと大脳基底核が密接につながって運動性記憶となり、大脳皮質連合野が制御しなくても自然とからだが動くようになるということです。
ラジオ体操を毎日やっている人は、色々なパターンの動きが運動性記憶として記憶されているので、とっさに何かの動作をしなければならないとき、ラジオ体操をやっていない人よりスムーズに動けるということです。
子供のころいっぱい遊んで動き回っていた人は、いっぱいその引き出しを持っているので、いろいろな運動をやってもすぐ入っていけるでしょうネ。

普段なにげなく行っている色々な動作は、自分の中にすでにあるパターンの組み合わせで動いていることが多く、それがくせであったりゆがみや不自然さであったり無駄な動きであったりします。
パターンにとらわれず、もっと自由に一番合理的で機能的な動きができたら、楽に動ける上に見た目も美しいはずです。
普段の動きは「自転車に乗る」ような明確な目的がないので多少合理的でなくても特に不自由なく過ごしてしまい、あらためて意識することは少ないと思いますが、意識して「自然な動きをしよう」と思うと、からだはなかなか言うことを聞いてくれないことに気づくと思います。
自然な動きをするということは、今までの(不自然な)パターン以外の自然な動きをからだが覚えるということです。
まさにこれも「運動性記憶」です。

フェルデンクライス・メソッドはからだの使い方に「気づき」ながら自然で機能的な動きを身につけていくレッスンですから、「運動性記憶」の原理を十分に活用しているレッスンだと言えます。
今からでも遅くありません。ともかく何でもやってみることです。
からだは、いくらでも反応してくれます。

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