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  歯科治療に対する不安

デンタルインフォーメーションNo.130 2007/11/16

◆麻酔に対する不安

 歯を削られるというのは不安なものです。歯はからだのなかで一番硬い組織です。
だからといって木や石を削るのと同じように考えてはいけません。
歯もからだの一部ですから、柔らかい肉体と同じように考えなければなりません。歯を削るということはからだにメスを入れるのと同じことです。
歯の表面の1mmぐらいの厚さの一番硬い部分はエナメル質といって神経が来ていないので削っても痛くありませんが、その中の象牙質という部分には、からだのほかの部分と同様に神経が通っています。
そこを削るということは、からだにメスを入れるのと同じことで痛いのは当然です。
私たち歯科医は、麻酔もなしに削るということはしてはいけませんし、強引に削るようなことはせず、患者の痛みを理解して無痛治療を心がけなければなりません。
 しかし患者さんは麻酔をすることもいやがります。注射針を刺される時の痛みがいやなのです。
また、外科などの全身麻酔の事故でからだが不自由になったり運悪く死亡してしまったニュースを聞いて、麻酔に対する間違った先入観を持っている人もいるのではないでしょうか。
 注射針を刺すときの痛みは、歯肉に表面麻酔を塗って和らげます。
注射をする部位にしっかり麻酔をしてしまうため、あまり痛みは感じないはずです。このように歯科医の麻酔技術によって痛くない治療を心がけるとともに、患者さんには十分説明して麻酔そのものへの恐怖も取り除くようにしています。

◆レントゲンに対する不安

 X線と聞けば、何回も撮影されると放射能が体内に蓄積されて害にならないかとか、生殖器官に害を及ぼさないかなどが心配されます。
しかし最近のX線技術の発達で、わずかのX線量で撮影できるようになっていますからほとんど心配は要りません。
 歯のレントゲン撮影に使われる放射線の量は、人間が自然環境の中で1日に浴びる宇宙線などの量の100分の1です。
また生殖腺に関しては、1度に10000枚のレントゲンを撮らなければ影響がないことが実験で確かめられています。
 このように、通常のレントゲン撮影は人体にほとんど害がないレベルであり、状態を的確に判断したり隠れた症状を早期発見するために必要なので有益性のほうがはるかに上回ります。
もちろん、無駄な被爆をしないように、撮影時には鉛のエプロンをするなどの配慮をします。
 妊娠中の方が、あるいは妊娠していることを知らずにレントゲン撮影を受けてしまった場合でも、実はほとんど心配のない量のX線しか浴びてはいないのですが、妊娠中に歯の治療を受ける方で、それでもどうしても心配な方は、5〜7ヶ月の安定期に治療するとよいでしょう。

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