神経を抜くと言われたら

虫歯になって歯医者さんに行って、「虫歯が深いので神経を抜きましょう」と言われたら、 患者さんにとっては「はい」と言って従うしかないのが普通です。

でも、神経って無くてもいいものなの?

歯の中心には神経や血管が通っていて、痛みを感じるだけでなく、栄養を送ったり細菌から防御したりする働きがあります。
神経を取るとそれらがなくなるので、栄養がいきわたらなくなって歯がもろくなったり、黄色くなったりします。
また痛みがないことでその後に問題が起こっても気付かなくなることもあります。

そう考えると神経はできることなら抜かない方がいいのです。
でも、実際にはいくら残したくても神経を抜かなくてはならない場合ももちろんあります。

歯医者さんに神経を抜くと言われたら、 神経を残す治療方法はないのか、 また、残すことができないならそれはなぜなのか、 よく質問してお話を聞いて、納得してから治療するようにするといいですね。

対面の良さ

近年、メールなどでやり取りすることが増えていますが、「顔を合わせて話せばすぐに終わる話なのに」と、メールでのやりとりにもどかしさを感じたことのある人も多いのではないでしょうか。
目の前にいばすぐに言葉の応酬がすぐできるのに、メールだと返信を繰り返すのに時間がかかるもどかしさもあるでしょう。
それだけでなく、対面なら即答できない時の微妙な表情を読み取ってもらえば話が進むということもあるかもしれません。

コミュニケーションにおいて言葉の内容が表情や声の質と矛盾していた時、表情を重視する人が55パーセント、声の質を重視する人が38パーセント、言葉そのものを重視する人は7パーセントだそうで、メラビアンの法則と呼ばれているようです。

人が表情を読み取る力はかなりのもので、言葉を発しなくてもわずかな快不快の表情を見逃さないことはよくあることです。
逆に詐欺師がそれを利用して演技豊かに人をだましたりするんですね。

診療においても、精神科医の著書によれば、対面診療では温かさ、受容、励ましなどの感情の交流が治療効果に関与しているそうです。

一人で悩んでいても埒があかなかったのに、面と向かって話をすれば悩みも解決、なんてこともあるかもしれません。
私のところにも、歯の悩み、もしかしたら歯じゃないかもしれない悩み、何でも相談にいらしてくださいね。

予防歯科

日経の「交遊抄」に新田嘉七さん(平田牧場社長)が書いている記事があったのですが
そのお友達の熊谷先生という方が開いている山形県酒田市の予防歯科専門の診療所のことが書いてありました。

初診の検査・診断から定期的なメインテナンスまで患者さんの教育も行いながら長期的な管理を行い
ムシ歯や歯周病を予防して長期にわたってお口の中の健康を保とうという取り組みを中心に行っている歯科医院です。
スタッフ50人の大所帯だそうです。

いまやムシ歯の時代ではなく予防の時代です。
こういう予防歯科の考え方はこれからの時代にフィットしたものでしょう。

一方、すでにムシ歯と治療を繰り返し、歯周病にもなって
お口の中がガタガタになってあちこちに不具合が・・・という人たちを救うための歯医者さんも必要かもしれません。

メインテナンスの重要性

どんなにすばらしい治療をしても、メインテナンスをしっかりしないと口の中はこわれていきます。
テレビに映るタレントさんでも、あんなにきれいな人が、
いつのまにかフガフガした口もとになった映像を見ていると、
メインテナンスの管理の重要さをお話してあげたくなります。
先日ブティックでお会いした女優さんもそうでした。
歯周病で、美しかった口もとは別人のようです。
私は自己紹介をしましたが、訴えるような目で、見られた時にハッとしました。
お忙しそうで、お互いその場を立ち去りましたが・・・。

美しさのポイントはやっぱり口ですネ!

「クロワッサン」の記事から

昨日買った「クロワッサン」という雑誌を見ていたら たまたま、「なんだかんだの病気自慢」というコーナーで
松尾スズキさんが歯を抜かれてしまった記事を読みました。

右上の犬歯の歯茎が急に腫れて痛いので歯医者に行ったら
まずいきなり「こりゃもうだめだね」「隣の歯もだめだね」で始まり、
膿を食べているから胃が悪くなる、最終的には総入れ歯、と脅し、
当日ナレーションと朗読の仕事があるというのも考慮に入れず、
その日のうちに抜いてしまったというのです。

松尾さんの描写は、歯医者が患者という弱者に対して
強者的な言動で接したことで心挫かれたことが中心なのですが、
歯科治療という面から見ると、この歯医者さんの問題点は
まずその日のうちに抜いてしまったことです。
それも検査もしないうちに抜くと言っています。

本来なら検査をして状況を把握してから
患者さんにその状況を話し、理解してもらってから治療を開始します。

しかしこの歯医者さんは
抜くという方針を先に決めて 患者さんに現状を大げさに表現しています。

さらに当日にナレーションや朗読の仕事があるという患者さんに
(多少の同情はしたとしても)患者さんの意向を考慮せず
その日のうちに抜くということを決めてしまいました。

たまたまほかの記事にひかれて買った雑誌なのですが
あまりのことにしっかり読んでしまいました。
いまどきこんな歯医者さんがいるのが驚きでもあります。

松尾スズキさんにアドバイスをするとしたら
歯のことについての知識を増やしましょう。
1本2本の歯に注目する歯医者さんじゃなくて、 お口の中全体の現状をしっかりお話してくれる歯医者さんに行きましょう。
まずはそこからですね。
これは他の人にも言えることなので、皆さん他人事じゃないですよ。

咬みしめることの怖さ

パソコンや携帯、スマホなどをのぞいている時、何気なく上下の歯を合わせていることに気づいた人はいるでしょうか。
咬んで力が加わってくると、頭の骨がどんどん変形してしまいます。
もちろん、一度に目に見えるくらいの変化ではありません。数10ミクロンから100ミクロンぐらいでしょうか。

具体的にはどういう変化があるのでしょう。
①上あご:舌で口の中の上の方をさわって感じられるところに骨の継ぎ目があります。そこが少しズレます。
②頭と首から上の部分:頭は23個の骨でできていますが、全体的にゆがんだりズレこんだりします。
③あごの関節がヨレる。
④歯が埋まっている骨がたわんで、内側や外側に突出してきます。(これは年月とともにはっきり見えてきて、ビー玉ぐらいに丸くなっていることもあります。)
⑤口を大きく開けるだけで、あごはゆがみます。
⑥咬みしめることで両方の頬の筋肉が発達して、よく言う「エラが張った」ようになります。
⑦歯1本1本にも神経が通っていると生きているので、咬むたびにしなります。(これも目に見える量ではありません。

こんなに咬みしめが顔、口、頭全体に影響しています。
咬みしめや口もとに力を入れることが、目に見えない範囲で変形・ゆがみ・筋肉の異常発達をおこすことを十分知ったら意識が変わって 下を向いてパソコンや携帯を見ているときに咬みしめていないか気になってきませんか?

顎関節症がなおると小顔になる?

古い雑誌を整理していたら「顎関節症がなおると小顔になる」という話題が載っていました。 さて、本当に小顔になると思いますか?

咬み合わせの治療については今までもたくさん書いてきていますが、 咬み合わせの治療することによって確かに顔の輪郭も変わってきます。

咬み合わせ調節のためのスプリント(マウスピース)を入れて本来の位置に咬み合わせが戻ってくると 顔も体も筋肉が本来の位置にだんだん戻ってきて無駄な緊張がなくなってきます。 それにつれて歪みも減ってくるので、変化に合わせて何度かスプリントを調節していくにつれて 筋肉はさらに楽な位置に行くようになり、緊張のない本来の顔立ちが戻ってきます。

小顔になるというのは二次的効果なので人にもよりますが、 本来の顔立ちに戻ることによってバランスを取り戻し、美人に見えることは実際に良くあります。 前回書いたように特に顎のラインは美人度に大変影響を与えるので、 顎のラインが整うと美人度アップになる場合が多いのです。

歯を食いしばる癖がある、よく頬杖をつく、片側だけで物を咬む、 そんなことが思い当たる方は要注意です。 顎かカクカクしたり実際に支障があるだけでなく、咬み合わせが悪いと見た目にも大変影響します。

だから、顎関節症がなおると小顔になるって本当だと言っていいと思いますよ。

ホームドクターの必要性を問われています

病院の混み方の異常さは、どうやら日本だけの特徴のようです。
病気の不安を、病院に行くことで解決しようとしている結果のような気がします。

診断で薬を処方されたり、手術をすすめられたり・・・。
動物(ヒト)は自分で治せる力があると言われています。
他の力に頼っては、元気なもとのからだに戻すのに、ヒトのからだの反応と違ったルートでたどり着きます。
からだにとってはほんとうに良いのでしょうか。

他国の「ホームドクター」の考え方を、日本人の私たちもそろそろ考えてみる必要がありそうです。
ただし、Dr.サイドがそう考えて下さらないと、私たち患者側が騒いでもどうにもなりません。

「ホームドクター」は何でも話を聞いて、何でも答えられるもの知り博士です。
病気と診断できる前の「無症状の病気」⇒「未病」はホームドクターだからわかってあげられることです。
大病院に行って、パソコンとのやり取りで患者をじっくり視ていないと、誤診率が高くなるおそれがあります。
誤診ではなく、大きなミスにつながらないようにするために必要なのがホームドクターです!

メディカル分野のみならず、デンタルでも全く同じです。
私たちの治療は、パソコン処理をして終了するものはほとんどありません。
手をかけた手作業と、患者さん一人一人のミクロの世界での治療をする感性が良い結果を生み出します。
努力を惜しまず日々精進するのが、私たち歯科医の役目でもあります。

私たちが大学で学んだ知識をそのままを使った治療方法は現実にはありません。
個々の患者さんを知れば知るほどテクニックを変えて対応します。
そうしないと結果は出せないのです。

世の中がITの中で超高速で進化しています。
歯科は知識としては最新医療を知らなければなりませんが、やることは私の指先です。
ロボットにもまだ任せられる世の中にはなっていません。

私は、一人一人を知ることから始めます。
ホームドクターの第一歩です。
その人が理解できれば、選択肢のカードの中からいろいろ検討できることが増えます。
「治療しない」ことを治療方針の中に選べることも出てくるのです。 きわどい判断もホームドクターのなせる技でしょう。
一人一人をじっくり見て考えて、見続けられるからです。

身近なIT機器に目も心も奪われ自分を忘れてしまっている現代人に本当に伝えたいと思っています。
外に目を奪われないでくださいネ。
自分の内なる部分を見てくださいネ。
これからの自分のホームドクターは、すぐそばにいますよ!

応用歯科心理学

「歯」のお話をするだけでビクビクしたり、または耳に栓をしたくなる人が少なくないような気がします。
さらりと聞き流してにこにことしていられる人はたくさんいるでしょうか?

また歯についてのお話をしているときの顔つきも、
ちょっと不愉快そうに顔つきがわるくなったりして、
本当に歯に関しては歯医者さんのイメージは悪いようです。

そこで発想の転換をしてみませんか。

口の中の環境はすべて本人の責任で作り上げていくものです。
よくきれいにしていれば、何の!
「私全然平気。」
「気持ち良いので、おいしく食べられるし、歯に関してはニコニコ」です。

そうやって、きれいな環境を作り上げることを自分で楽しめると良いですよネ。

自分を磨いてどんどん良くなっていく実感が得られるとイヤなことが楽しく感じられる、
心理学的にも自然な心の仕組みなのですが、
そうやって人間ができてくるのでしょうね。

口というところは

人として幸せを吸い込む口、
不幸も吸収してしまう口、
口はその人のいろいろなものを吐き出すところです。

吐き出されたところにいる歯医者さんはたまったもんじゃありません。
だからこそ歯医者さんのパワーは並大抵ではない力の持ち主が良い治療をできる人なんでしょうね。