咬みしめることの怖さ

パソコンや携帯、スマホなどをのぞいている時、何気なく上下の歯を合わせていることに気づいた人はいるでしょうか。
咬んで力が加わってくると、頭の骨がどんどん変形してしまいます。
もちろん、一度に目に見えるくらいの変化ではありません。数10ミクロンから100ミクロンぐらいでしょうか。

具体的にはどういう変化があるのでしょう。
①上あご:舌で口の中の上の方をさわって感じられるところに骨の継ぎ目があります。そこが少しズレます。
②頭と首から上の部分:頭は23個の骨でできていますが、全体的にゆがんだりズレこんだりします。
③あごの関節がヨレる。
④歯が埋まっている骨がたわんで、内側や外側に突出してきます。(これは年月とともにはっきり見えてきて、ビー玉ぐらいに丸くなっていることもあります。)
⑤口を大きく開けるだけで、あごはゆがみます。
⑥咬みしめることで両方の頬の筋肉が発達して、よく言う「エラが張った」ようになります。
⑦歯1本1本にも神経が通っていると生きているので、咬むたびにしなります。(これも目に見える量ではありません。

こんなに咬みしめが顔、口、頭全体に影響しています。
咬みしめや口もとに力を入れることが、目に見えない範囲で変形・ゆがみ・筋肉の異常発達をおこすことを十分知ったら意識が変わって 下を向いてパソコンや携帯を見ているときに咬みしめていないか気になってきませんか?

笑っても前歯の見えない人は・・・

私のオフィスにいらっしゃる方で、笑っても前歯が見えない人は、歯周病リスクが高い人が多いようです。

歯周病を予防するにはしっかり歯ブラシをしなければなりませんが、笑っても前歯が見えない人は歯ブラシが歯の根元に届きにくいと思います。 くちびるのまわりの筋肉が硬くて開きづらい方もそうかもしれません。

くちびるや頬の力が強い人は男性に多いような気がしますが、女性の場合は美容上目立つ前歯は気をつけて磨くからあまり影響しないのかもしれません。

笑うとくちびるは上に引き上げられるので、多くの人は歯が見えます。
歯が2/3ぐらい見えると口もとが美しく見えるのです。
しかし、親からの遺伝的な口もとをもらった人にはそんなことは言えません。
歯ブラシは手でくちびるを持ち上げて磨きましょう、などと説明してくれる歯ブラシ指導はほとんどありません。
教わらないことは必要ないと思ってしまうのでしょう。
その結果ほとんど歯ブラシが当たらず、歯周病に気付いた時には手遅れになっています。
口の周りの筋肉の厚くて硬い人もブラシが届かず、歯周病が重症化してしまいます。

歯医者さんのブラシトレーニングは、一般の人(指導を受けたことがない人)が普通に行う歯ブラシとは違うので、時間をかけてレッスンしてください。
歯医者さんにしっかり頼ったほうが安心です。

レモン汁で歯みがきしないで!(酸蝕症関連)

先週書いた酸蝕症に関連してネットで検索をしていたら
ある歯科医院のホームページに、レモン汁で歯を磨いたという患者さんの酸蝕症の症例がありました。

その患者さんはレモン汁で磨くといいという話をTVで見たということだったので、
そんな話が出回っているのかと、「レモン汁 歯みがき」でGoogle検索してみました。
そうしたら驚いたことに、歯を白くするためにレモン汁で歯を拭いたり磨いたりするという話がたくさん出ているではありませんか。
結構口コミで広がっているようです。
 
1)レモン汁で磨くあるいは拭く、
2)重曹をレモン汁で練って磨く
3)塩とレモン汁をまぜて磨く
だいたい3パターンあるようです。

レモン汁は酸なので、歯の表面のエナメル質を溶かします。
「歯医者さんに行かなくても、自作の歯磨き粉 [上記1)~3)]でホワイトニングできます。」
とおすすめしている人もいますが、それは歯の表面のエナメル質を溶かしているから白くなるのですよ。

重曹や塩は研磨剤として作用するのでレモン汁で表面が溶けてやわらかくなっているところへ
ゴシゴシこすると余計に歯を痛めてしまいます。
(重曹の場合は中和して酸が弱まることはあるでしょうが、混ぜる比率によります。)

ゴシゴシこすらないで、レモン汁でそっと拭く程度なら
1度に急激に削れるわけではないので、一年に1回ぐらいならそんなに害はないかもしれません。

もしレモン汁で歯を磨いたりした場合には、口をゆすぎ
磨いたのと同じぐらいの時間、フッ素入りの洗口剤やジェルを口に含んでしばらくそのままでいます。

でも、試してみたわけではないので、それで大丈夫だとは保証できません。
それでもやりたい人は、あくまでも自己責任です。

酸蝕症

酸蝕症(さんしょくしょう)という言葉は聞きなれないかもしれませんが、身近なお話です。

レモンやグレープルーツ、パイナップルなど酸っぱいものを食べると、気づかないかもしれませんが歯の表面が少し溶けています。
そんな時にゴシゴシ歯ミガキをすると、歯がすり減ってしまいます。

酸っぱいものを食べたり飲んだりした後はすぐに歯ミガキしないで、うがいをしてしばらくそっとしておいてください。
食べて(飲んで)いた時間にもよりますが、まずは何回もうがいをして、そのあと5分から10分は歯ミガキをしないで、口の中が元の状態に戻ってくるのを待ってから歯ミガキしたほうがいいでしょう。

良い歯ぎしりと悪い歯ぎしり

歯ぎしりは健康に役立っている?

ひと口で言うと人間は夜寝ている間に無意識に歯ギシリすることによって脳のストレスを発散しています。

眠りには「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。「レム睡眠」は浅い睡眠で、この時に歯ギシリが起こります。脳に疲れがたまりストレスが生じている時に、脳からこれを発散したいと言う信号が発信されてあごに伝わり、あごの筋肉が左右に動いて歯ギシリをはじめます。もし歯ギシリをしないと脳への信号は途中で止まってしまい、疲れやストレスを発散する場所を失って中途半端になって、翌日には前日より疲れきって起きることになってしまうでしょう!言わば、歯ギシリは脳のストレス解消に大いに役立っているのです。

でも、この歯ギシリをしている人の口の中に異常があったらまた別です。たとえば微妙に歯の段差(数10ミクロンの世界)があると、そこにひっかかってしまい、歯ギシリの動きにゆがみが出てしまいます。これに気づかないで歯ギシリを続けていると、ストレス発散ではなくて顎関節症を引き起こします。このとき噛みあわせを少し調整してスムーズに歯ギシリができるようになるとよく寝られます。

どんな健康な人でも、睡眠中の歯ギシリは10分ぐらいはやっているようです。ストレスが多くなると40分近くに増えてしまいます。

良い歯ギシリと悪い歯ギシリがあったのです!

全身をむしばむ歯周病と取り組むには

最初から怖い話ですが、歯周病の人は狭心症や心筋梗塞などの心臓病のリスクが通常の人の1.5~3倍高まります。これはアメリカのノースカロライナ大学での18年間の追跡調査で明らかになっているのです。心筋梗塞の病巣からも、なんと歯周病菌が検出されたという報告もあります。そして、歯周病患者の4割が特殊な蛋白質が血中に出て、心筋梗塞のリスクがより高くなるというデータもあるのです。

国立がんセンターでは食道ガンの細胞中に高率に歯周病菌が検出され、ガン発生の原因の一つとも考えられています。また骨粗しょう症、関節炎、老人の肺炎の原因の一つともされているのです。

以上、口の中だけでなく全身をむしばんでいる歯周病は、どう予防したり、治療していったらいいのでしょうか?

歯ブラシを一生懸命やってもこの病気には不十分です。ガンや糖尿病、高血圧などと同様、食生活、ストレスなどが原因で起こる生活習慣病の一つだからです。ストレスの上に、歯ぎしり、噛みしめにより歯のまわりの骨などが破壊されます。またそこに、食事の栄養のアンバランスなどが絡み合い、悪化させていきます。

 

ストレスの改善に役立つのが栄養療法です。

 

歯ぐきの腫れや出血を防ぐ・・ビタミンC、 K、フラボノイド

歯茎の組織と健康を保つ・・・コエンザイムQ10(ユビキノン)

骨の破壊を防ぐ・・・・・・・カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、K

ストレスに対抗する・・・・・パントテン酸、ビタミンC

歯周病菌を減らす・・・・・・ビタミンA、B群、C、E、亜鉛、セレン、カテキン

歯垢を防ぐ・・・・・・・・・(砂糖をやめる)

食物繊維の多いものを50~60回噛む。

 

いろいろの栄養を取ることも大事ですが、栄養を取りながらタバコを吸っていては効果もなくなってしまいます。タバコを吸うと歯ぐきに十分に血液が回らないため、菌が増殖しやすくなります。しかもタバコのヤニが歯に付着し、食べかすが吸着するのでますます菌の温床になります。

歯周病で歯を失った本数が多いとよく咬めないため、唾液が出ません。唾液中の消化酵素、解毒が少なくなり、アレルギー、ガンなどにまでなりやすくなってしまいます。

 

これからの生活にはりを持つために、栄養を十分とって全身的な気力、活力を養い、生活習慣を改善して歯周病だけでなくさまざまな病気の予防に努めましょう。

ホームページリニューアルについて

私のオフィスの情報をお知らせするためのホームページを開設してから、もう10年ぐらいになります。 その間に日刊ゲンダイやWedge、週刊現代、アンアンなどいろいろな情報誌にも取り上げていただきました。 とてもいろいろな人からの電話、メールなどのご連絡もいただきました。 その後はどういう経過だったでしょうか。

あまりの情報過多に皆さんも何が何だかわからなくなってきていると思いますが、私のほうもとまどっています。 医療は基本的にはそんなに変わらないはずです。 でもマスコミは最新の治療やら最新のものを求めているようです。 人間の病気にはそんなに最新の病気はありません。 特に歯科は基本的なことをしっかりやればほとんど良くなっていくはずです。 しかし、メインテナンスを無視したら本当の成功はないのです。 ここを皆さんがもっとよく理解してくださればいいなと思います。 せっかく良いところまできたのにピタッと来なくなると、悲しいことこの上なしです。 私たちの治療を否定されてしまったのかとも思い、とても残念な思いがします。

もう一つの問題は、自己診断してしまうことです。 ネット上の情報で納得してしまうことです。 プロのアドバイス(直接の)は大事です。 万人向けの情報は正しいとは限らないのです。 人間の個性を知ることのできるものが言えることの方がより真実に近いでしょう。

ホームページのリニューアルは、今までとまた違った方法で表現してみました。 両方ともじっくり読んでみてください。 そして質問してください。 メールでもTELでも直接でもどうぞ!!

新ホームページ:http://kato-dental.biz/

旧ホームページ:http://www.dentkato.com/

全身をむしばむ歯周病は毎日のケアで防げます

歯周病の原因はプラーク=歯垢と言い切ってしまう大学教授がいます。残念ながら、プラークをいっぱい付けているのに歯周病になっていない人をいっぱい知っています。逆にプラークをつけていても歯周病にならないような口の中であれば良いのです。

残念ながら10代~60代まで、プラーク(歯垢)をつけてもムシ歯にならない人は見たことがありません!私が知っているのは70代、80代で歯がほとんど残っている人です。ということは、ほとんどの人は歯周病になる生活をしているということです。

プラーク(歯垢)は歯にくっつくとそのまわりの歯肉が炎症を起こします。よく言う、歯ブラシをすると出血するということです。歯肉の炎症ぐらいなら、自己努力で気づいたときからまじめに1本ずつみがけば健康を取りもどします。気にしない人が地獄の第一歩となります!

歯ぐきから歯槽骨という歯のまわりの骨や、歯の周りをハンモック状にくるんでいる歯根膜というところの炎症が始まると歯がグラグラ、物が咬みづらくなくことで気がつきます。でも悲しいかな、痛みを伴わないので気にしつつ放置していると、5年、10年後には咬めないぐらいグラグラになったり、自然に抜け落ちることもあります。

予防は?

ともかく歯医者さんで精密検査することがおすすめです。自己流では悪化をおさえることはできません!

世の中に、このようにみがきましたらなどと、うんちくはいっぱい情報として流れています。でも、どれひとつとして同じ口の中はありません。45度の角度をつけてハブラシを当てましょうなどと言われても、歯がデコボコしていたらもう当たってはいませんから。

私のおすすめは、口の中に食べ物が入ったらみがく!水以外のものがはいってもみがく!みがくなら口の中が見えるくらいの手鏡を目の前に持って一本ずつ確認しつつ。

これは本当に効きます。指導しなくても人の目を信用することです。本当に驚かされます。それぐらい人の気づきには繊細な力があります。

そこから道具を増やしていくのは歯科衛生士の仕事です。デンタルフロスや歯間ブラシ、毛束1ケのミニブラシは指導者がいないとしっかり当てることはできません。さっきも言ったように、自己流でうまくいったら歯医者はいりません!こんなふうになどと図入りの説明をするドクターがいたらそれだけで歯周病専門医を疑ってもいいかもしれません。歯周病の治療にはなっていません。

ともかく個人個人の口の中を歯医者さんがどういう状況かわかった上で一本の歯に道具を3つも4つも使う場合もあれば、1種類でもいい場合もあります。重症化した歯は自分では手に負えないので、自己のケアを徹底して、自分で不可能な所は歯科衛生士にやってもらう、もっと重症なものはドクターがケアを、3人4脚でどうにか現状を悪化しないようにできるはずです。誰かしら油断してサボったら、あとはご想像通りです。

消化管(口、食道、胃、小腸、大腸)は毎食後気にしようと思えば気にできるところです。生活習慣病の中でも自分で気にかけることができる一番トップのものです。不規則な生活で加工食品を多く取りストレスが多い人は、口も内臓も全身要注意です。サラリーマンの多い新橋はその現状がよく見えるところでもあります。