咬み合わせを考えて治療することの大切さ

先週の金曜日に歯の側面を削る調整をした方ですが、咬み合わせ位置が動いて当たりが変わったというので今週の水曜日と金曜日に再調整しました。

咬合面はまったく削っていないのに、不必要に出っ張っていたかぶせものを削ったことで舌や唇の位置が楽になり、その結果あごもどんどん楽な位置に動いて行ったようです。 家で歌を歌ったら今までと全く感覚が違うほど上あごに響いてびっくりしたそうです。

先週の金曜日削った直後から唇が楽になったと言っていましたが、次の日には咬み合わせが動いたのを感じたそうです。

咬み合わせが動いたことによって咬むと最初に犬歯のみに当たるようになたったので、犬歯の裏側(かぶせもの)を主に削って調整しました。 ここは本来普通に咬んだ時には当たらないところなのです。

その後さらに動いて2番目の前歯(こちらもかぶせもの)にも当たるようになったのでまた調整しました。 今日の調整によって、まださらに楽な位置に動いて行きそうだし、削りすぎても困るのでこの後は少し様子を見ます。

咬合面をいじらなくてもこんなに変化があることは予想はしていましたが予想以上の面もあります。 咬み合わせを考えて、かぶせもの、詰め物、ブリッジ、入れ歯などを作らないとこういうことが起こるということを目の当たりにして、治療時に咬み合わせを考慮することの重要さを再認識しました。

歯の側面の調整

先日友人との話の中で、某歯科医院で歯の内側を削る調整をしたら肩こりが良くなったという話を聞きました。 その治療状況から、これは効果があるのではないかと思いました。

当院でスプリントの治療をしている患者さんで、以前から他の医院で昔治療したかぶせものの位置が元の歯と変わって違和感があると言っている方がいるので、本人の了承を得て歯の内側と外側の側面を削る治療を行ってみました。 削るといってもほんの1ミクロン程度のことです。 咬合の調整は別の時にしているので、今回咬合面は削りません。

削るのはほんのわずかなので微妙な感覚が頼りの細かい作業ですが、患者さんの口の中の状態を見ているうちにどういう方向だと改善するのか見えてきます。

某歯科医院では「発声が良くなりサ行タ行の発音がはっきりする」「滑舌が良くなる」と謳っていて、歌を歌ったり講演をするなど声を職業とする方にこの治療を推奨しています。 今回この治療に付き合ってくれた患者さんは素人ですが声楽をやっているので、声や口の中の状況には敏感なはずです。

治療前と治療後に「あいうえお、かきくけこ、さしすせそ、たちつてと、らりるれろ」としゃべってもらい、ICレコーダーで記録しました。

ICレコーダーを再生するまでもなく、治療後の声は変わっていました。 発音がはっきりして滑らかになり、本人もしゃべりやすいと言っています。 それだけでなく響きも変化していて、本人によると上あごにガンガン響いているとのことです。 「このまま歌いだしたいくらい」(本人談)

思った以上の効果に驚きました。

また、その後スプリントをはめてもらうと、スプリントがはまる部分も削ったのですが、わずかにゆるくなったものの、再調整する必要がないくらいでした。 スプリントをはめてしばらく過ごしたのちの感想では、スプリントをはめても舌がゆったりした気がするとのことです。 スプリントには厚みがあるので口の中は狭くなるのですが、舌が一度ゆるむとリラックスするためと、歯の根元まではスプリントが入っていないのでゆったりした部分を感じるのかもしれません。

この治療は誰にでも効果があるとは限りませんが、舌や頬に歯の跡があったり、頬をうっかり咬みやすい、舌がひりひりするなどの症状が気になる方には効果があると思いますし、直接の症状改善ばかりでなく舌や関連する筋肉も緩むことによってそれ以上の効果を感じる方も多いと思います。

「TCH」を直せば肩こりが治る?

「TCH」って知っていますか? 最近東京医科歯科大学の木野孔司先生があちこちで紹介してTVでも放送されています。

人間は普通は咬んだり話したりしないで口を閉じている時には上下の歯は離れています。 ところが緊張したり、何かに集中しているときに無意識に上下の歯を接触させていることがあります。 特に咬みしめたり食いしばっているわけでなくても、上下の歯が当たっているだけで咬むための筋肉や周辺の筋肉は緊張し、それが長時間になれば肩こりなども引き起こします。

「TCH」とは「Tooth Contacting Habit」の略で、このような上下の歯を接触させる癖のことです。 この癖を直せばそのために起きていた肩こりなど、いろいろな症状が改善される方が多いのです。

このことは私たち歯科医にとっては決して新しい話ではありませんが、TVなどで取り上げられて、「歯を離す」という張り紙を家の中に何か所も貼って、それを見かけるたびに「フーッ」と息を吐いて歯を離すという習慣をつけていくと効果があると紹介されたので、見た方も多いと思います。

筋肉の緊張を解くためには深く呼吸をしてフーッと吐くことが重要で、この呼吸により筋肉が緩みます。 自分で頻繁に気付いて行えるという点では、この張り紙法は名案だと思います。

ただし注意しなくてはならないのは、ここで行うのは張り紙通りの「歯を離す」だけではなく、呼吸が重要だということです。 歯を離すことばかり意識しすぎると、今度は逆に歯を離そうとすることで筋肉が緊張してしまいます。 TCHを直すことばかりを意識していると、かえって緊張が持続してしまうのです。 私も経験がありますが、本当に人間というものは無駄な力を入れてしまうものです。

気づいたら深く呼吸をしてフーッと吐いてリラックス・・・これを続けていればあなたの肩こりも治るかもしれませんよ!

歯の治療の必要性はどこまで?

歯の治療の必要性はどこまでなのでしょうか。

歯がナナメにはえてとてもみがきにくい!
でも人生70年ムシ歯にはなっていません。

歯にまったくフィットしていないかぶせたクラウン。
これも合っていないのにムシ歯でもなく、 咬み合わせも「?」ですが・・・・
本人はいたって快調とのこと。

でも、こういう人は少なくなりました。

どんな人でしょうか。 人生を楽しんでいる人なんでしょうネ。
そのために歯は大事であることを十分に知っています。

もう6年も1ヶ月半に1度のメインテナンスに通っていただいている男性です。
女性に褒められるのも大好きのようです。

口臭が気になります! 

口から出てくる臭いを口臭と表現します。 食事などで、アルコールやにんにくなどを飲んだり食べたりした後に臭うのは、口の中に残ったものの臭いではありません。 消化吸収されたものが血液中に移動し、ある程度以上の濃度になると肺呼吸をする際に吐く息とともに出てくるのです。 血液内の臭いと息が同じということです。 これは歯みがきをしてもとれません。 時間とともに血液中の濃度が下がって臭いがなくなってきます。

また口の中の臭いは、だれもが持っているものです。 朝起きた時の臭い、緊張して口の渇きを覚える緊張性口臭、女性の生理時の口臭、加齢にともなう老人性口臭などで、生理的な自然の口臭です。

口臭は自分で気にしているほど人には臭っていません。 しかし意識していない人のほうがかなり強い臭いのすることがあります。 喫煙や歯周病、ムシ歯などで臭いに鈍感になっている人です。 どちらなのかはなかなか自分では判断できません。 第三者ならだれでもいいと思います。まずは聞いてみてください。 何か言われたら最初に行ってみてください。歯医者さんへ!

診療時間は?

近ごろ、歯医者さんの診療日、時間帯が変わってきています。 夜遅く、9時、10時ぐらいまでOPENしているようです。 そして、平日は忙しいから土日に診療をしてほしいという要望が多く、 住宅地では土日OPENは当たり前になっているようです。

ちなみに、かとうかずこデンタルオフィスでは、今まで通りで行く予定でおります。

月曜~水曜は10時から7時まで、火木土は10時から6時までです。 とは言っても、定時には終わりません。 8時過ぎることもあります。

歯科治療は、ドクターに言わせると「こんな細かい作業、本当に大変ですね。」と同情されてしまうくらい繊細な仕事です。 1週間休みなく、土日も学会やセミナーが続くと、からだも疲れてきてしまいます。 元気いっぱい仕事に精を出せるには、朝9時から夕方5時まで週5日しっかり働くのが良いようです。 このことは統計学的に出された数字でも確かです。

これ以上長ければ集中力が欠けてきますし、疲れれば手を抜きたくもなるでしょう。 歯医者さんの仕事に集中力と精度を求めるには、元気な時間に歯医者さんに行くに限ります。

患者さんの治療時間が1時間から2時間の間であれば、しっかり治療していけます。

もう一度、自分の受けている治療の内容をしっかり理解して、その時間で何をどうやって治療しているか関心を持ってください。

歯医者さんの治療時間

忙しい方が多い現代の生活では、 皆さん、歯医者さんの治療時間はできるだけ短いほうがいいと思っているかもしれません。

でも実は、歯の治療をきちんとやろうとすると時間がかかります。 たった1本の歯でも、普通は1時間ぐらいかかります。 本当に丁寧に、あとで詰め物も精密に入るようにこだわった治療をすれば2時間くらいかかってしまいます。 本来ならそういう治療こそ本物だと思っているのですが・・・。

それを30分でやろうとしたら、とても無理なのです。

歯周病の治療でも1時間半はかかります。

どうか皆さん、歯医者さんにかかるときは時間の都合をつけて、 1時間ぐらいはかかるつもりでいらしてください。 きちんとした治療を受けるために必要な時間です!

それはムシ歯ですか?

歯が痛くて歯医者さんに行ったのに痛みが消えない、神経を取っても違和感がある、「歯が痛い」「しみる」「ムシ歯のときの痛みと同じ」と言っていらっしゃる患者さんは多いのですが、ムシ歯ではない人が半数以上です。 ムシ歯は治療しなくちゃと思うことがほとんどですから歯医者さんに行きます。でもムシ歯が人がまたそのうちの50%以上なのです。 では何でそのような症状が出てくるのでしょうか。 咬みぐせや気づかない咬みしめ。それは寝ているとき、仕事の姿勢など、ありとあらゆる生活習慣の中で起きます。 それを治療するのは歯科医です。 歯のトータルケアで徹底的に改善しようとしなければ、他の歯にも症状は波及してしまいます。それだけではなく、世の中にいやというほど情報が流れている生活習慣病の一つに十分当てはまってしまうことです。

良い歯ぎしりと悪い歯ぎしり

歯ぎしりは健康に役立っている?

ひと口で言うと人間は夜寝ている間に無意識に歯ギシリすることによって脳のストレスを発散しています。

眠りには「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。「レム睡眠」は浅い睡眠で、この時に歯ギシリが起こります。脳に疲れがたまりストレスが生じている時に、脳からこれを発散したいと言う信号が発信されてあごに伝わり、あごの筋肉が左右に動いて歯ギシリをはじめます。もし歯ギシリをしないと脳への信号は途中で止まってしまい、疲れやストレスを発散する場所を失って中途半端になって、翌日には前日より疲れきって起きることになってしまうでしょう!言わば、歯ギシリは脳のストレス解消に大いに役立っているのです。

でも、この歯ギシリをしている人の口の中に異常があったらまた別です。たとえば微妙に歯の段差(数10ミクロンの世界)があると、そこにひっかかってしまい、歯ギシリの動きにゆがみが出てしまいます。これに気づかないで歯ギシリを続けていると、ストレス発散ではなくて顎関節症を引き起こします。このとき噛みあわせを少し調整してスムーズに歯ギシリができるようになるとよく寝られます。

どんな健康な人でも、睡眠中の歯ギシリは10分ぐらいはやっているようです。ストレスが多くなると40分近くに増えてしまいます。

良い歯ギシリと悪い歯ギシリがあったのです!

噛むことは体と心の健康

そしゃく不足と口呼吸が体の不調の原因を担うのは
小学生の子供たちも気づき始めています。

口は命の入り口、心の出口で、噛むことは心と健康の要になっています。

口腔ケアで病気予防ができます!
大人は予防と治療の2つのことを 一度に考えることが大事です。